肩こりの主な原因
頭の重さは約5~6キロと言われており、これは米袋一袋に相当する重さです。
この重量を支えているのが首と肩の筋肉です。日本人は欧米人と比較して、頭部が大きい割に首肩の骨格や筋肉が繊細な構造をしているため、肩こりを起こしやすい傾向にあります。
実際、厚生労働省の調査によると、肩こりは女性の自覚症状の第1位、男性の第2位となっています。
特に中年以降は骨や筋肉の衰えとともに症状が悪化しやすく、放置すると慢性的な痛みに発展する可能性があります。肩こりの原因は多岐にわたりますが、以下の4つが主要な原因とされています。
- 長時間の同じ姿勢
- 眼精疲労
- 運動不足
- ストレス
また近年では、血圧との関連も注目されています。従来は低血圧の方に多いとされていた肩こりですが、高血圧の方にも発症することがわかってきました。
肩こりの種類
肩こりの症状は、首のつけ根から肩・背中にかけての張りや痛みが主体ですが、頭痛、めまい、吐き気、集中力低下、目の疲れ、全身倦怠感、上肢のしびれなど、様々な随伴症状を伴うことがあります。
原因別に以下のように分けられます。
生活習慣性の肩こり
不良姿勢、運動不足、ストレス、眼精疲労などの日常生活習慣に起因します。これらは血行不良や筋力低下、自律神経の乱れを引き起こし、肩こりの原因となります。生活習慣の改善により、症状の緩和が期待できます。
整形外科的疾患による肩こり
肩関節周囲炎(五十肩)や腱板断裂などの肩関節疾患、また頸椎症や椎間板ヘルニアなどの脊椎疾患によって肩こりが生じることがあります。
内科的疾患による肩こり
脳動脈瘤、狭心症、心筋梗塞、糖尿病、高血圧、胆石症などの内科的疾患でも肩こりが起こることがあります。この場合、肩こり以外にも特徴的な症状を伴うことが多く、適切な診断と治療が必要です。
肩こりの重症度チェック
肩こりの重症度チェックリストをご参考ください。あなたの肩こりの重症度を確認してみましょう。
- 肩や首の痛みが一日に何度も気になる
はい or いいえ
- 肩や首の痛みが原因で仕事や家事に集中できない
はい or いいえ
- 肩こりの症状が週に3回以上現れる
はい or いいえ
- 肩こりが原因で夜に目が覚めたり、寝つきが悪くなったりする
はい or いいえ
- 頭痛やめまいを伴うことがある
はい or いいえ
- 肩こりが強くなると、吐き気を感じることがある
はい or いいえ
- 腕や手にしびれや違和感がある
はい or いいえ
- マッサージやストレッチをしても改善が見られない
はい or いいえ
- 肩こりを解消するために薬を使うことが多い
はい or いいえ
- 長時間座っていると肩や首の痛みが悪化する
はい or いいえ
結果の確認
はいが5個以上ある場合
肩こりが中等度〜重度の可能性があります。日常生活に支障が出始めているかもしれませんので、適切なケアや専門医の相談を検討しましょう。
はいが3〜4個の場合
肩こりが軽度〜中等度の状態です。セルフケアや姿勢の改善で軽減できることが多いですが、症状が続くようなら早めに対策をとることをおすすめします。
はいが1〜2個以下の場合
比較的軽い肩こりの症状です。定期的なストレッチや姿勢改善で予防しましょう。
ひどい肩こりを治したい!すぐにできる対処法
首肩の筋肉ストレッチ
僧帽筋は首から背中にかけて広がる大きな筋肉で、腕の挙上や荷物の持ち上げ時に使用します。このストレッチでは、片方の手を背中に回して、反対側に首をゆっくり傾けます。20秒ほど維持し、左右交互に行います。
後頸部のストレッチ
頭板状筋は首の後ろにある筋肉で、首の伸展や回旋に関与します。ストレッチは、頭の後ろで手を組み、背筋を伸ばしたまま前方に頭を倒します。この姿勢を10秒ほど保持します。
胸部のストレッチ
大胸筋は腕の動きを制御する重要な筋肉です。両腕を横に伸ばして胸を開き、腕を後方に引くことで効果的にストレッチができます。スポーツ動作にも重要な筋肉です。
肩甲骨周りのストレッチ
菱形筋は肩甲骨の動きをコントロールする筋肉です。
両手を前で組んで腕を伸ばし、背中を丸めて肩甲骨を広げます。30秒ほど維持します。
肩こり解消ツボ押し術を3つご紹介します
手の甲のツボ(合谷)
親指と人差し指の付け根付近にあり、親指で3~5回程度押すことで効果が得られます。
小指付け根のツボ(後渓)
握り拳を作った時の小指付け根のシワの先端部分を、道具を使って強めに3~5回押します。
前腕部のツボ(手三里)
肘の横ジワから指3本分下がった位置にあり、5秒ほど押すことを3~5回繰り返します。
クリニックを受診すべき症状
肩こりに伴い以下のような症状がある場合は、整形外科を受診されることをおすすめします。
- めまいや吐き気
- 首の可動域制限
- 顔面や手のしびれ
- 視覚の異常(複視など)
- 手の脱力感
- 発熱
- 頸部の腫脹
など
特に、急激な胸痛を伴う肩の痛みは心疾患の可能性があるため、救急受診が必要です。当院では、これらの症状に対して適切な診断と治療を提供いたします。早期発見・早期治療が重要ですので、気になる症状がございましたら、お早めにご相談ください。