腰椎すべり症とは?
腰椎すべり症は、腰椎が本来の位置からずれてしまう病気です。 主な症状は腰痛や下肢のしびれで、 大きく分けて2つのタイプがあります。
① 分離すべり症(若年層に多い)
スポーツ活動が原因で発症することが多く、以下の要因があります。

- 腰を反らす・回旋運動の繰り返し
- 椎弓の疲労骨折や分離
- その結果、椎体がずれる
② 変性すべり症(中高年に多い)
加齢に伴う椎間板や椎体の変性が主な原因で、次の特徴があります。

- 椎間板の変性による不安定性
- 椎体のずれ
- 脊柱管狭窄症を伴うことが多い
椎間板ヘルニアとの違い
腰痛やしびれは共通ですが、発症メカニズムは異なります。
- 腰椎すべり症: 椎骨自体がずれる
- 椎間板ヘルニア: 椎間板の内部が飛び出して神経を圧迫
治療法も異なり、すべり症は「骨の安定化」、ヘルニアは「椎間板への負担軽減」が中心です。
腰椎すべり症は治るのか?
多くの方が最初に気になるのは「腰椎すべり症は治るのか?」という点でしょう。結論として、自然に元通りになることは少ないものの、適切な治療によって症状を大きく改善させることは可能です。
軽度のケース
保存療法で症状が和らぎ、生活に支障が出ないレベルまで改善する方は多くいらっしゃいます。例えば、
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薬で炎症や痛みを抑える
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コルセットで腰を安定させる
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ストレッチや体幹の筋トレで再発予防
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日常生活での動作改善
これらを続けることで、「治った」と感じられるまで回復するケースもあります。
重度のケース
一方で、痛みが強まったり、しびれや筋力低下が進んだりすると保存療法では不十分なこともあります。
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立って歩けないほどの強い痛み
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排尿や排便のトラブル
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生活に大きな制限がある
このような場合には手術が検討され、ずれを安定させたり神経の圧迫を取り除くことで根本改善を目指します。
腰椎すべり症の症状チェック
腰椎すべり症では、次のような症状がよく見られます。
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立ち上がる・歩く・前かがみで腰が痛む
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太ももやふくらはぎにしびれや痛みが広がる
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長く歩くと脚が重くなり、休むと楽になる(間欠性跛行)
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腰を反らすと痛みが悪化する
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長時間同じ姿勢を保てない
これらが複数当てはまる場合、腰椎すべり症の可能性があるため早めに医療機関での診断をおすすめします。
腰椎すべり症の方がやってはいけないこと
症状を悪化させないためには「避けるべき動作」を知っておくことが大切です。例えば、

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重い物を前かがみで持ち上げる
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腰を大きく反らす、ひねる運動
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長時間のデスクワークや立ち仕事
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ジャンプや激しいスポーツ
これらは腰椎に強い負担をかけ、ずれを助長するリスクがあります。
一方で、完全に安静にするのも逆効果です。体幹を支える筋肉が弱ると不安定さが増すため、無理のないウォーキングやストレッチを続けることが大切です。
腰椎すべり症の治療方法
当院では、患者様の症状や生活環境を総合的に評価して、最適な治療方針をご提案いたします。
保存療法
痛みの軽減のため、消炎鎮痛剤などのお薬による治療を行います。
また、腰への負担を軽減するコルセットの使用や、ストレッチ・筋力トレーニングなどのリハビリテーションもご案内いたします。
より専門的な治療が必要な場合
保存療法で改善が見られない場合や、以下のような症状がある場合には、専門医療機関での精密検査や治療をご提案することがあります。
- 痛みが徐々に強くなる
- 筋力が低下してきている
- 排便や排尿に問題が出てきた
- 日常生活に支障をきたす など
このような場合は、信頼できる専門医療機関をご紹介し、必要に応じて手術などの治療をご検討いただけます。術後のリハビリテーションについても、地域の医療機関と連携しながらサポートいたします。
まとめ
腰椎すべり症は自然に完治することは難しい病気ですが、適切な治療によって「治った」と感じられるほど症状を改善できるケースは多いです。
大切なのは、
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やってはいけない動作を避ける
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保存療法を継続する
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症状が強ければ早めに専門医へ相談する
という3つのステップです。
気になる症状がある方は、我慢せず早めにご相談ください。