- サイレントマニピュレーションとは?
- どんな人に適している?治療が適応となるケース
- 四十肩・五十肩など、適応となる代表的な症状
- 実際の治療の流れ|診療当日の手順
- 術後の経過とリハビリの重要性について
- サイレントマニピュレーションの費用
- リスク・副作用とその対策について
サイレントマニピュレーションとは?
肩関節周囲炎、いわゆる四十肩・五十肩や肩腱板損傷などでは、薬の内服や注射、物理療法などを行っても、肩の可動域が狭まったまま痛みが続くことがあります。これは長期間肩を動かせなかったことで、関節包が硬くなり、癒着が生じた状態(拘縮肩・凍結肩)になっているためです。
サイレントマニピュレーションは、局所麻酔を用いて痛みを抑えながら、拘縮した肩関節をゆっくりと動かし、可動域の改善を図る治療法です。これまで入院して全身麻酔で行っていたような処置が、現在では外来で短時間の施術として可能になっており、日常生活への負担が少ないのが特徴です。
どんな人に適している?治療が適応となるケース
適応対象

- 肩を動かそうとしても動きにくく、関節が固まっていると感じる方
- 夜間、痛みで目が覚めてしまう方
- リハビリや注射などの保存的治療で効果が見られなかった方
治療が適応できない方
- 80歳以上の女性
- 骨粗鬆症があり、過去に骨折の経験がある方
- 麻酔薬にアレルギー反応がある方
- 気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの慢性的な呼吸器の病気がある方
四十肩・五十肩など、適応となる代表的な症状
安静時痛:安静にしているだけでも感じる痛み

- 腕を動かさなくてもズキズキと痛む
- 夜間、痛みで目が覚める
運動時痛:動作時の痛みや動かしにくさ(拘縮)

- 洋服の着替えのたびに肩が痛む
- 髪を洗う・ドライヤーを使うときに肩が上がらない
- 高いところの棚に手が届かない
- 背中に手を回そうとすると強い痛みを感じる
実際の治療の流れ|診療当日の手順
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肩を露出した状態でベッドに横向きで寝ていただきます。
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超音波(エコー)ガイド下で頸部の神経に局所麻酔を行います。
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麻酔が効いた後、仰向けになり、上肢をさまざまな方向にゆっくりと動かし、固まった関節や靭帯をほぐします。
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上肢をゆっくりと様々な方向に動かし、固まった関節や靭帯をほぐしていきます。
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治療を行った方の腕に三角巾を装着してお帰りいただきます。
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再発防止のため、3か月間は積極的に理学療法に通っていただきます。
治療後の注意点
- 局所麻酔の影響で6—8時間程度、腕を動かせません。治療当日は車や自転車の運転ができないため、公共交通機関や徒歩での来院をお願いします。
- 麻酔が切れた後の再拘縮を防ぐため、翌日から積極的に肩を動かしていただきます。治療効果を最大限に引き出すため、当院の理学療法士による運動器リハビリテーションの併用をおすすめしています。
合併症やリスク
ごくまれに、局所麻酔薬によるアレルギー反応、関節を動かす際の骨折や脱臼が起こる可能性があります。のため、重度の骨粗鬆症の方やアレルギーのある方への治療はできません。
ただし、超音波ガイド下で行うため、リスクは極めて低いです。
治療時間
麻酔から治療終了までにかかる時間の目安は1時間程度です。
術後の経過とリハビリの重要性
治療直後は麻酔の効果により、腕が一時的に動かせない状態が続きます。そのため、治療当日は自転車や車の運転はできません。麻酔の効果が切れる際に痛みが出ることがありますので、処方する痛み止めをお使いください。
治療から1〜2週間ほどで、肩の可動域が広がり、動かしたときの痛みや就寝中の痛みが軽くなるケースが多く見られます。特に夜間の痛みが和らぎ、安眠できるようになることが多いようです。通常、数か月経過すると、ほとんどの方が日常生活に支障のない程度まで回復されます。
サイレントマニピュレーションの費用
本治療は健康保険が適用されます。当日の手技、注射等を含めた自己負担額の目安は以下のとおりです。
3割負担:〇〇円程度(※準備中です。)
2割負担:〇〇円程度(※準備中です。)
1割負担:〇〇円程度(※準備中です。)
※具体的な金額については、受診時にお問い合わせください。
ご予約について
本治療は予約制となっております。診察の際にご予約をお取りしますので、まずは診察にお越しください。
リスク・副作用とその対策について
主な副作用と対策について
術部の感染リスク
麻酔注射の際に、極めてまれではありますが、注射部位から菌が入り込む可能性があります。
当院では感染予防のため、使用する器具の徹底的な消毒を行い、医師は滅菌手袋を使用して治療を実施いたします。
関節への負担
固まってしまった肩関節を動かす際に、上腕骨の骨折や肩関節の脱臼が起こる可能性があります。
これらは特にご高齢の女性の方や重度の骨粗鬆症の方に起こりやすいため、治療前に詳しい検査を行い、安全性を慎重に判断いたします。
麻酔による体調の変化
局所麻酔の影響により、まれにめまいや血圧低下、息苦しさなどの症状が現れることがあります。
このような症状が出た場合は、必要に応じて点滴を行い、十分な休息を取っていただくなどの適切な対応を行います。